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歴代会長挨拶

第22代 令和2年~令和4年 藤森裕治

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 2020年度より日本読書学会会長(理事長)を拝命いたしました藤森裕治です。1956年の創設より64年間にわたり、読書にかかる研究と実践を探究し続けてきた本学会が一層発展しますように、微力を尽くす所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、昨年(2019年度)、本学会では60周年の記念書籍『読書教育の未来』を世に出すことができました。おかげさまで重版が決定し、各方面から好評をいただいております。
 その歓びもつかの間、今年度は新型コロナ感染症の広がりによって世界情勢が激変し、これまでとは大きく異なる生活形態を余儀なくされております。そうした状況にあっても、「読書」が人々の発達と成長、文化の継承と創造にとって、かけがえのない行為であるという真実に変わりはありません。いやむしろ、他者との直接的で密接なかかわりの自粛が呼びかけられる今こそ、読書がもたらす精神世界の充実に、あらためて光をあてる時期に来ているのだと思います。
 私事で恐縮ですが、この春より信州大学から文教大学に籍を移しました。仕事も生活も世の中も、すべてが新しい世界に変わった中での会長という職責は、不安に押しつぶされそうではありました。そのような中、副会長は永く学会誌編集委員長を務めてくださった上谷順三郎先生が、事務局長は畏友であり新たな同僚である山下直先生が、それぞれ快く引き受けてくださいました。お二人をはじめ、新体制を構成する先生方におかれましては、どなたも重責を快諾してくださいました。心より御礼申し上げます。
 会員の皆様におかれましては日本読書学会への一層のお力添えとご支援、学会活動への積極的なご参加を、よろしくお願い申し上げます。

第21代 平成29~令和元年 甲斐雄一郎

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 シリアの作家、ラフィク・シャミの魅力的な『片手いっぱいの星』(若林ひとみ訳、岩波書店、初版1988年)をご存じの方は少なくないでしょう。もうすぐ14歳になるという「ぼく」の日記形式で書かれたこの作品の第一ページは、「ぼく」に向かってサリームじいさんが嘆くところから始まります。「残念だよ、わしは字が書けんでな。いろんなことを経験した。大事なことをいろいろとな。だが、いまじゃあ、昔、いく晩もいく晩も寝つけなかったのはなんでだったのかも、覚えとらん」。また、「字を知ってりゃ、わしはいまでも、山や原っぱや谷間だけじゃなく、バラのとげひとつひとつまで思い出すことができるんだよ」というように。 
 この一節によって今日の私たちが印象づけられるのは、文字の読み書きのたいせつさということにもまして、「バラのとげひとつひとつ」にも人生の豊かさを感じ取ろうとするサリームじいさんの構えであるように思われます。そしてリテラシーをめぐる課題も、文字の知識それ自体の獲得から目をみはるほどの広がりを見せて今日に至っています。
 昨年、日本読書学会は創立60周年を迎えました。この間の読書、読書活動を取り巻く諸課題の劇的な変貌にもかかわらず、本学会のホームページに記された「各界の同志の参加を得て、新しい読書学の領域を開拓し、わが国における読書文化の発達ならびに読書指導の進歩に寄与しようとするものである」(1956年9月1日)とする「設立の趣意」は変わりません。
 志を共にする会員の皆さんとともに引き続きこの課題に取り組んでまいりたいと思います。​

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